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芥川賞受賞作「火花」だけじゃない。ピース又吉の笑えてどこか切ないエッセイ

自称ピース又吉のファンがおすすめ

自称ピース又吉のファン…といいつつも、まだ、今話題の「火花」を買っていません。

今回は、今話題のピース又吉の小説「火花」でなく、エッセイである「第2図書係補佐」「東京百景」について書きたいと思います。

「第2図書係補佐」は、本を紹介しつつ又吉さんの経験やエピソードを書いていく形式です。

「東京百景」は、東京での風景や思い出とともに又吉さんがエッセイを書いています。

名前のとおり、百篇あります。

 

暗いけど、なんだか惹かれる

買った当初(5年前くらい?)は、一篇一篇がすごく大事で、読み切ってしまうのがもったいなくてとてもゆっくり読んでいた記憶があります。

余談ですが、私が又吉を好きになったのは独特の暗さが気になったから。

ギャグは他の人にはないもので面白くて、読書好きということを何かで知って、もっと彼のことが知ってみたいなぁと思った。

ちなみに又吉さんは大阪から東京に上京してきて、今のように有名になるまで相当の時間がかかっているんですね。

当時の容姿や雰囲気が原因でアルバイトも受からなくて、本当にお金がなくて、古本屋のすっごく安い本を買って空腹を紛らわすしかなかったそうです。

その時の心理状況が、暗い。ものすごく。

 

そこに当時の私はとってもシンパシーを感じました。

まぁそのころ色々あって、自分の存在価値はない気がして。

学校で勉強だけをする日々で、好きでもない友達と話しながら、放課後は電車に揺られてすぐ帰って、家でネットをする日々だった。

私も当時ずっと鬱々として、晴れ晴れとした気持ちにどうしてもなれなかった。

ずっと行動ができない、変化ができない自分に鬱々としていた。

でも、又吉の本を読んで、「あぁ、暗くてもいいんだなぁ」と思えた。

だからとっても好きでした。

 

本編を少し抜粋

自分の話はこれくらいにして、本編。

たくさんお話があるので、その中でも好きだな~と思ったものを。

 

「二十八 明治神宮の朝焼け」(東京百景より)

綾部と出会った話です。長くはないですが、今のピースがこうやって結成されたんだなぁと思うと、なんだかほっこりします。今は又吉と綾部で相方格差とか言われてますけど、綾部には綾部のいいところがあると思うので頑張ってほしいです。(何様)

 

「四十二」(東京百景より)

パンサー向井がでてきます。昔から仲良かったんですね。今も同居してますけど。

 

「七十五 東京タワー」

又吉のお母さんがでてきます。

ここでは、幼い又吉は梨がとっても好きなのに、なぜか母が、又吉はリンゴが好きだと勘違いしていて、どんな時でもリンゴをむいてくれる。又吉は母の期待を裏切りたくないのでリンゴを好きなふりをするというエピソードがあります。

なんだか又吉らしいはなしですよね…。

最近授業で「心の休め方」というメンタルヘルスの本を読んでいたんですけど、

心が疲れやすい特徴として「親の期待に応えようとして」「自分を殺し」「他人に合わせて」生きてきた人は、自己主張も自分の生き方もできないから、というのがありました。

幼い又吉もけっこうこういう傾向があるのかなーと。

 

「七十六 池尻大橋の小さな部屋」

東京百景の中で一番長いかもしれない。

そして、一番素敵なお話だと思っています。

又吉の元カノさんがでてくる話。

出会ってから、彼女が体調を崩して故郷に帰ってしまうまで。

彼女さんはとても明るい人だったらしく、暗い又吉は彼女といるととても救われたそうです。でも彼女の優しさ、明るさに甘えてしまったのでしょうか、二人は依存関係になってしまい、最終的には彼女は体調を崩してかえってしまいます。

ぜひ読んでほしいんですが、その若さゆえの又吉の後悔と、どれだけ彼女に救われたのかが、伝わってきます。

少し泣きそうになりました。

恋人同士って依存しちゃう関係だとは思うんですけど、難しいですよね。

ということで、こんな感じです。

少しでも気になった人は、ぜひ読んでほしい!

又吉さんの人柄が分かります。

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「東京百景」ばかりから引用してきましたが、最後に、「第2図書係補佐」から

 

一番好きな部分、抜粋させていただきます。

 

十代前半の頃、何故か上手くいかない、もしかしたら上手くいっているのかもしれないけれど満足度は全く無い、いや上手くいってるわけがない、何が?解らない、何に悩んでいるのかがいまいちよく解らないのだが、とにかく胸の辺りにモヤモヤとしたものが絶えずあって、これが無くなればいいのになぁ、と思うのだけど、一向に無くならず、もう自分は駄目なんじゃないか?とか思っていて、誰にも相談なんかできなくて、そんな時に古い小説を開いたら自分がいた。そこに自分と同じようにどうしようもない人間がいた。その人達は皆自分よりも歳上だったから、まだまだ可能性はある、生きられる、と思った。

 

 

 

 

こんな経験ありませんか。